映画「すずめの戸締まり」の考察が盛り上がっていますね。
新海誠監督がこの作品に込められた警鐘とは一体何なのかについて考察していきたいと思います。
【すずめの戸締まり/考察】新海誠監督が込めたメッセージとは?

新海誠監督が「すずめの戸締まり」に関するテーマについてこのように語っていました。
会見に登場した新海監督は、映画について3つのキーワードを挙げた。1つは「日本列島を巡るロードムービーであること」、2つ目は「扉を開くのではなく閉じていく物語であること」、そして3つ目は「映画館に足を運ぶ理由になる作品を作ること」。
上白石萌音、新海誠監督新作『すずめの戸締まり』ヒロイン声優に森七菜と立候補? | ドワンゴジェイピーnews – 最新の芸能ニュースぞくぞく! (dwango.jp)より引用
要約すると
- 日本列島を巡るロードムービー
- 扉を開くのではなく閉じていく物語
- 映画館に足を運ぶ理由になる作品
ですね。
私が気になるのは扉を開くのではなく閉じていく物語ということです。
なかなか扉を閉じることを物語の題材にした例はあまりみないですからね。
この扉を開くのではなく閉じていく物語であるということを詳しく見ていくと恐ろしいメッセージが込められていることがわかります。
【すずめの戸締まり/考察】扉を閉じていく物語は現代の日本を象徴

扉を閉じていくというのは現代に日本を象徴しているといえますよね。
日本は世界的に驚異的なスピードで少子高齢化が進んでいます。
そんな日本においては何かを始めるよりも何かを終わらせるほうが多くなると考えられます。
新海誠監督もこのように語っています。
「扉を閉じる物語」について、新海監督は何かを始めることよりも終わらせることのほうが難しいのではないかと考えたと述べ、「映画作りはもちろん、仕事にしても、恋愛や家族関係にしても終わらせるほうが難しい。だから可能性が開いていく物語でなく、散らかった可能性を見つめ直して、あるべき手段で閉じていくことで、新しい場所を見つけられるんじゃないか。そういう物語を作るべきなんじゃないか、皆さんが観たいと思っているんじゃないかと思ったんです」と思いを言葉にした。
「すずめの戸締まり」に込めた3つのキーワードは?新海誠「終わらせることのほうが難しい」 | マイナビニュース (mynavi.jp)より引用
何かを終わらせることは難しいが私たちはどのように終わらせるかについて向き合っていくだろうということを語っていますね。
【すずめの戸締まり/考察】新海誠監督が感じた大人たちへの憤り

新海誠監督はあらゆる事を始めるだけ始めて、終わらせることについては全く責任を取らない大人たちに関して憤りを覚えているのではないかと考えられます。
だから「扉を閉じていく物語」を描いたのではないかと考えます。
その根拠としては
- 前作「天気の子」のインタビュー
- 廃れていく町を聖地にしている
ということが挙げられます。
詳しく見ていきしょう。
身勝手に始めることの責任の重さ

新海誠監督は天気の子のインタビューでこのように語っていました。
当時から将来の気候への危機感は高まっていました。「そのうち異常気象が世界的な問題になるだろう」「このままだと地球は温暖化で大変なことになるに違いない」などと、当時から気候変動を問題視する声も少なくありませんでした。それがここ数年でとうとう現実のものになってしまった印象があります。
そんな世界をつくってしまった僕たち大人には間違いなく責任の一端がある。でも気象という現象はあまりに大きすぎて、個人としてはどうしても不安感や無力感に右往左往するだけになってしまう。でも、これからの人生を生きていく若い世代の人たちまで、大人の抱える憂鬱を引き受ける必要はないと思うんです。
『天気の子』新海誠監督単独インタビュー 「僕たちの心は空につながっている」 | ハフポスト NEWS (huffingtonpost.jp)より引用
大人たちが文明を発展させるために始めたことが異常気象として現れていることとそれに対する憤りが込められていますよね。
大人たちの責任を子どもたちが取る必要はないと語っていますね。
すずめの戸締まりでは災いを起こした当事者たちがなんとかしようと動きますが、現実はそうはいかないことが多いですよね。
廃れていく町への思い

今回のすずめの戸締まりの聖地として廃墟が多くあります。
- 宮崎県日南市
主人公すずめの住む町 - 愛媛県大洲市
山奥の廃墟になった学校の玄関がある場所 - 兵庫県神戸市
閉園した遊園地の観覧車がある場所 - 東京都
お茶の水近辺 - 宮城県
ここに出している聖地は一部ですが、日本全国の廃墟が多く聖地にされていることがわかります。
廃墟は昔は誰かが使っていたが、今は誰もその場所を使っていないことでできますよね。
誰かがその「廃墟」を使うことを始めたが、誰も使うことを終わらせる責任を取らなかったということです。
つまり新海誠監督は「廃墟」こそが終わらせることの責任を取らなかった大人の象徴的存在だと考えているのではないでしょうか?
【すずめの戸締まり/考察】終末の未来を予言

すずめの戸締まりはこれからの世界を予言していると言われています。
どんな世界になっていくかというと世界が終わっていく終末の世界に向かっていくということです。
廃墟が多く描かれていることから十分に考えられますよね。
終末の世界を描いているのではないかと言われる理由としては2つ。
- 終末の世界の前兆が現在の世界と似ている
- 廃墟を描くということが終末を暗示している
ですね。
では終末の世界とはどんな世界なのか解説していきます。
終末の世界の前兆とは?

キリスト教の教え「マタイの福音書」の中には終末の前兆としてこんなことが起こると言われています。
イエスはエルサレムへのさばきに重ねて終末に起こることの要点をいくつか述べている。第一に、終末にいたる前兆的な事柄がある(3節)。救世主の名を名のる偽キリストが現れること(5節)、戦争・内乱、政情不安定(6-7節)、自然災害(7節)、迫害(9節)、宗教的な惑わし(11節)、社会的な不正、冷酷(12節)そして全世界に福音宣教が宣べ伝えられることである(14節)。
https://thousandtimesbless.com/%E3%83%9E%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%81%AE%E7%A6%8F%E9%9F%B3%E6%9B%B824%E7%AB%A0/より引用
終末の前兆で起こることとしては主にこの3つですね。
- 戦争
- 自然災害
- 社会的な不正
この3つの中は世界で最近はよく起こっていますよね。
戦争は「ウクライナ戦争」、自然災害は世界的な異常気象、そして日本でこれから起こるであろう「南海トラフ地震」、「首都直下型地震」ですね。
社会的な不正は「政治家の汚職」などです。
こう考えるとすべての終末の条件が整っていると言えますよね。
終末の世界は決してネガティブなものではない

前兆の条件が3つ揃っているということで終末の世界が訪れる可能性は高そうです。
すずめの戸締まりはそんな終末の世界を描いていると考えられますが、そんな感じは一切しないですよね。
キリスト教の教え「マタイの福音書」が定義する終末の世界は決してネガティブなものではないことが書かれています。
世界の歴史は終末に向って進んでおり,この終末において人類の諸民族に究極的な神の審判が下り,試練によって清められたイスラエルの民には救済がもたらされるとともに,人類史が完成に到達するものと考えられた。
https://kotobank.jp/word/%E7%B5%82%E6%9C%AB%E8%AB%96-77415より引用
終末を世界が迎えることで善良に生きていたものには救済があるということですね。
つまり終末の世界は悪いものではないということです。
すずめの戸締まりは内容全体として暗くなく、明るい印象です。
これが終末の世界と考えると面白いですね。
まとめ

新海誠監督がこの作品に込められた警鐘とは一体何なのかについて解説していきました。
この作品を何回も見ていくことでなにかおもしろいことがまたわかるかもしれませんね。
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